糖尿病、生活習慣病の専門医院 松本市・多田内科医院

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多田久也のコンサート放浪記

(2)私を悩ます人々
 悩ましい人の話ではない。コンサート会場で演奏中に私を悩ませる人、つまりうるさい人のことね。携帯電話が演奏中に鳴ることはよくあるが、伊那市文化会館では、上原彩子がチャイコフスキーのピアノ協奏曲を弾いている最中に携帯電話が立て続けに3回鳴ったことがある。終了後、彼女は憮然とした表情のままカーテンコールを2回だけやり、アンコールもやらないで去って行った。携帯電話はばかにはできない。最近、アラン・ギルバート指揮のニューヨークフィルの演奏中、携帯電話が鳴ったために演奏が止まったという事件も起きている。
 私がコンサートへ行くと、私の周囲にはなぜか高頻度に、悩ませる人々が出没する。典型的なシーンは、ご婦人がのど飴をなめるときね。まず、バッグをおもむろに取り出し、パチンと開けて中をゴソゴソかき混ぜて飴を探すのである。しかし、なかなか見つからない。いつまでもやっている。「早く見つけてくれよ」と思う。「あっ、やっと見つかったようだ」音が大きいので様子が手に取るようにわかるのである。バッグをパチンと閉めて、今度は、飴の包みをクチャクチャと剝こうとするのだが、こういう時に限ってなかなか剥けないんだな。やっと口に入れて、私もこれで終わったと思って安心したら、その包みを手のひらでクチャチャチャと丸め出した。おっと膝に落としてしまった。再びバッグをパチンと開け、そして包みを中に放り込んで、バッグをまたパチンと・・・。この2,3分間は音楽に集中できず、脳内で発生したとげとげが次第に増大・増殖し、脳の表面をチクチクと刺激してくるのだ。
 クラシック音楽に興味はないのだが、奥さんに付き合ってついて来たような年配の男性も困る。必ず途中で飽きてしまって、パンフレットを取り出してパラパラとやりだすのである。ひどい時は、指につばを付けてページを一枚ずつ音を出してめくりあげたりする人もいる。これを隣でやられると、それをひったくりたい衝動に駆られる。チラシもよくない。チラシを入れるビニール袋が最近薄くなって、音が出ないようになっているが、そのかわりチラシの数が多くなった。サントリーホールなどは100枚ぐらいある。演奏中にこれをパラパラやられたらたまったものではない。チラシはコンサート終了後に配るべきである。風邪をひいていて咳が出るのは仕方がない。咳をこらえている様子には同情する。しかし、咳が出るのがわかっていながらハンカチも用意してこないで、前の席の人の頭に向かってゲホゲホと無遠慮にする人もいる。開演間際に入ってきて、よほど急いできたものか息が上がってしまい、いつまでもゼイゼイハアハアとやっている人もいた。この場合、曲のはじまりの部分は台無である。また、ポマードの臭いを発散している高齢の男性に多いのだが、演奏中にセンスをパタパタやるのも非常識極まりない。そうそう、音だけじゃあない。マダムのあの強烈な香水の臭さ。普段でも他人のこの臭いをかがされるのは不快なことだが、2時間の演奏中(オペラでは3時間以上)このような悲惨な状況にさらされるのは、厳しい修行である。
 かくいう私はどうかというと、私の場合おとなしくじっとしている方である。音楽に集中しているときは微動だにしない。楽章が終わっても咳払いなどもしない。なにしろ、呼吸さえしていないのだから。

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