糖尿病、生活習慣病の専門医院 松本市・多田内科医院

多田内科医院 Tel.0263-36-3611
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おおっ トスカよ!

第7回
×月×日
 「ゆっくりできるのは今日でお終いだ。どうしようか?」「どうしようかねえ。おとうは何をしたいの?」「観光も疲れるから、その辺をぶらぶらしようか」「うん、それがいいよ」ショッテントーア駅からトラムに乗ってオペラ座で降りる。黄金のワンパターン行動である。まだ歩いたことのない路地に入ると、“音楽の館”というビルがあり、4階に売店があった。こういう店を見つけると娘は目の色が変わる。音楽関連の小物を買い漁ることに命をかけているのだ。まだガキなので、宝石とか時計とかカバンとか騒がないので助かる。わたしもつられてあっちこっちでモーツアルトネクタイやベートーベンノートなどを買うことになった。
 昼はインペリアルホテルのカフェに入り、またまた再びウインナーソーセージとローストビーフのサンドイッチを頼んで、今日はシャンペンだ。それに、インペリアルトルテ(ここはザッハーじゃないもんな)とホットアップルパイ。ドクターKノートによると、ここのアップルパイがウイーンでは最高、とあるが、わたしにはホテル デユ・フランスのアップルパイのほうがうまい。このホテルはカルロス・クライバーの常宿だ。ウイーンフィルとベートーベン6番のプローベ中、「このところはマリー、マリーではなくテレーズ、テレーズだ」と指示したが、楽団員の誰にもその意味がわからず、怒ったクライバーは窓から飛び出し、インペリアルホテルの荷物をまとめてそのままミュンヘンに帰ってしまった。という記事を読んだことがある。ちなみに、その意味はいまだに謎とされている。そして、ウイーンフィルとのベートーベンの録音は5番と7番しか残っていない。インペリアルホテルの向かい側にデパートがあり、地下は食品売り場だ。売っているものすべてが興味深い。娘は昨日からソーセージ、ソーセージと言い続けており、ソーセージ売り場に突進していった。
 もっとおみやげを買いたい娘、オペラ座の“アルカデイア”という音楽ショップに行きたいという。ここにはもう3回も来ているが、まあいいだろう。ひまを持て余したわたしは店の外のベンチに座っていると、先日会ったウイーンフィルのSerecker氏が女性の肩を抱いて親しげに歩いているのを見つけた。オペラ座の近くだから歩いていても不思議ではないが、その女性、奥さんとは違う人なんだ。大丈夫だろうか。“こうもり”に登場する人たちのように、やはりウイーンの人々は伝統的に好色なのかなあ。
 夕食は、昨日真千さんに予約してもらった“フース”という店に行った。真千さんのお気に入りの店だ。人気店で予約を取るのが難しいらしいが、昨日はうまくとれた。もう余裕しゃくしゃくと、大またで歩いて入っていって「予約しているTADAでーす」「えーと、…、予約に入っておりませんが」がくっ。「えっ、おかしいな。TADAですよ」「えーと、…、やはりありません」「 T、A、D、Aですよ」「残念ですが、すみません」途方にくれた。そういえば昨日真千さん、電話で予約するとき、ドクターTADAと言っていたような気がした。「わたしはドクターTADAです」「おおーっ、ドクターTADA ! お待ちしていました。あなたがドクターTADAですか」なんだかわけがわからない。いったいこの人は何をどう勘違いしているのだろうか。まあいいや。今夜は、巨大白アスパラガス、ポテトサラダ、ハムとチーズを牛肉で挟んでフライにしたCordon Bleuという料理などで、ここのオリジナルのTrumer Pilsビールをたっぷりと楽しんだ。最後の夜にふさわしい食事なり。
 夜、オペラ座の前を通りかかると、壁の大画面で“カルメン”の実況をやっていた。去年から一年に数回こういうことをやるらしい。今日はカルメンの第2回目の公演なのだった。200人ぐらいの人々が椅子や地面に座ってみていたので、一番後ろの植木に腰掛けてしばらく観た。「当日券の立見席でもいいから、これを観たかったね」「実はワシも今そう思ったんだ。失敗したなあ」「でも、もう十分に楽しんだよ。今回の旅行はいろいろとありがとうね」「さて明日は11時出発だ。ホテルの朝食はやめて、朝早くこのへんに出て来てなにか食べようか」「それはいいねえ。どこにする?」「そうだな。行き損なったオーバラーカフェはどうだ」「いいねえ」「そこの絶品だという噂のマカロンを買おうか」「いいねえ。いいねえ」「ついでに、チョコを浸したオレンジ菓子をお土産に買おうじゃないか」「いいねえ。いいねえ。最高だねー」

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